フレンチポテトは本当にフランス生まれ?

起源同様に異なる食べ方

これまで見てきたようにベルギーとフランスの主張は今も平行線を辿っていて、解決の糸口は見えていません。しかし、両国に通じているのはフレンチポテトがそれぞれの食文化にしっかり根付いているということです。

フランスではフレンチポテトはステーキやムール貝などの付け合わせには欠かせません。特にメゾン・フリット(maison frites)と呼ばれる自家製のものは一度食べると病みつきになります。フランス人の子供達が好きなものにフレンチポテトを挙げるのも納得です。また、ノール・パ・ド・カレ地方はウェルシュなどの郷土料理と一緒にフレンチポテトがよく出されます。じゃがいもの消費量が高い地方として知られるのも頷けます。

ウェルシュ(welsh)
フランス北部の代表的な郷土料理ウェルシュ

チーズ好きにはたまらないノール・パ・ド・カレの名物料理ウェルシュ

一方、ベルギーではフレンチポテトは名物の一つでもあるムール貝と一緒に出されることはもちろんですが、屋台などで食べられるのが特徴です。フランスではあまり見られない光景ではありますが、ベルギーの国境に近く文化的にも近いものを持つノール・パ・ド・カレ地方、例えばブローニュ=シュル=メールの海岸沿いには移動式の屋台が並んでいます。このフレンチポテト専門の店はフリットリー(Friterie)と呼ばれ、フランス北部では親しまれています。ちなみに、残念ながらフランスでは経営者が店舗を好む傾向があるようで屋台は今や絶滅の危機にあるようです。

フレンチポテトが世界遺産に?

にんにく味のムール貝
ムール・フリット(ムール貝とフレンチポテトの付け合わせ)

最後に少しベルギーのフレンチポテトへの思い入れについてご紹介します。ベルギー北西部のブルージュに行くと彼らが誇る「フリット」とじゃがいもの歴史や文化などを学べるフレンチポテトのための博物館(Frietmuseum)があります。もちろん世界でも例を見ない場所です。ベルギー人はフランスでは絶滅の危機にあるフレンチポテトの屋台やフレンチポテトそのものを文化遺産と捉えていて、実際にユネスコの世界遺産に登録する動きもあるようです。

これまで、フランス北部とベルギーにまたがる形で両国の鐘楼巨人などが世界遺産として登録されていますが、いつかフレンチポテトが登録されるときに、どういう形で(フランス北部は含まれるのか?)、どういう名前(英語でFrench friesになるのか?)で登録されるのか興味が尽きません。何はともあれ、難しいことはさておき、フランスに来たら「本場の」フレンチポテトを是非食べて見てください。