カルボナーラとの関係とは?フランドル地方の郷土料理カルボナード・フラマンド

フランス北部の名物料理の一つ、カルボナード・フラマンド

フランス北部のフランドル地方と呼ばれるところがあります。かつては、フランドル伯によって、隣り合うベルギー北部と一緒に支配されていました。現在はノール・パ・ド・カレ地方の一部となっているフランドルのその名残は、フランスの他の地方にはない巨人鐘楼などのベルギー北部と共通した伝統や文化にも見られます。そして、それはもちろん食文化にも。それを代表するのが、今回紹介するカルボナード・フラマンド(Carbonade flamande)という料理です。

カルボナード・フラマンドってどんなもの?

カルボナード・フラマンドと聞いてカルボナーラみたいなものなのかなと思った方いらっしゃいますか?

カルボナード・フラマンド
カルボナード・フラマンド

半分は当たっていますが、半分はハズレです。カルボナードという言葉は、フランス語で「炭」いう意味の「charbon」に由来しています。つまり、カルボナードというのは「炭火焼きの肉」を指す言葉として使われています。

一方で、パスタのカルボナーラもイタリア語で炭焼き人という意味のcarbonaroから由来した「炭焼き職人風スパゲッティー」ことスパゲッティー・アッラ・カルボナーラ(Spaghetti alla carbonara)が本来の名前です。このように言語面では近いのですが、味自体は全くかけ離れたもので、生クリームはおろかパスタすらない肉の煮込み料理です。

ウェルシュ
ウェルシュ(右)もフレンチポテトと一緒に提供されることが多い。

カルボナード・フラマンドは以前に下記の食肉の歴史の記事の中でご紹介した牛肉料理のブフ・ブルギニョン(Boeuf bourguignon)に近いのですが、煮込みにワインではなくビールを使うのがカルボナード・フラマンド流。ビールを使うというのはビールの文化が豊かなノール・パ・ド・カレ地方らしい発想と言えます。そう言った意味では、もう一つの郷土料理でもあるウェルシュと共通していますね。

カルボナード・フラマンドの見た目はビーフシチューのようですが、食べてみると予想に反して甘い味付けに驚かされます。一般的に、フランス料理はデザートを除けば塩気の味付けがされることが基本なので、その点から見ても興味深いところです。また、大抵の場合はフレンチポテトと一緒に出されるのも特徴。ビールとフレンチポテトはベルギーの名物でもあることを考えると、それもすぐに納得できます。

カルボナード・フラマンドはノール・パ・ド・カレ地方の定番料理なので、郷土料理を提供する多くのレストランで食べられます。リール(Lille)やアラス(Arras)、ブローニュ=シュル=メール(Boulogne-sur-Mer)などのフランス北部の街を訪れた際にはぜひ試してみてください。