今年のクリスマスにフランス北部のアラスに行きたい2つの理由とは?

ナポレオン展とフランス北部で一番美しいマルシェ・ド・ドエルを見に行こう

place des héros

フランドル地方の都リール(Lille)やルーヴル別館で有名なランス(Lens)を訪れようと考えている方にぜひ一緒に訪れてほしいのがアラス(Arras)という街です。2015年に国営放送のFrance 2の人気番組「フランス人が一番好きな建造物(Le Monument préféré des Français)」に選ばれた鐘楼はユネスコ世界遺産に指定されており、その左右に広がるバロック・フランドル様式の建物群はアラスの街の特徴となっています。

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このように、他に類を見ない建築美はもちろん注目すべき点ですが、実は今年の冬にこそアラスに行っておきたい理由が2つあります。というのも、アラスだからこそ見られる大きなイベントがこの冬二つ行われるからです。

ヴェルサイユ城の収蔵品が見られる「ナポレオン展」

まず1つ目は2017年10月7日から2018年11月4日までの約1年1ヶ月に渡りアラス美術館(Musée des Beaux-Arts d’Arras)で開催される「ナポレオン展」です。ナポレオンはフランスの軍人であり政治家として18世紀末に台頭し、19世紀初頭にはヨーロッパを席巻した人物として日本でも知られています。今回のナポレオン展では貴重なヴェルサイユ宮殿(château de Versailles)の収蔵品を通して彼と彼の時代について考察するという機会となっています。

ナポレオン展公式ページ(フランス語)

実は、アラス美術館とヴェルサイユ宮殿とのコラボレーションは初めてではなく、2014年から2016年にかけてもヴェルサイユ宮殿の100の名品を集めた展覧会が開かれており、40万人を集める大成功のうちに幕を閉じました。ところで、なぜヴェルサイユ宮殿の美術品が1度ならず2度もアラスに来たのか?これには理由があります。

ルーヴル美術館がアラスと同じフランス北部のランス(Lens)やドバイに別館を開いているように、ヴェルサイユ宮殿もまた施設の外にも幅広く収蔵品を見てもらおうという試みを行なっています。その流れの中で、アラスと街の位置しているフランス北部のオー・ド・フランスはヴェルサイユ宮殿と提携をしており、今回の「ナポレオン展」が実現しているのです。

ちなみに、アラス美術館は街の歴史を語る上でも重要な建物で、かつてはベネディクト派の修道院の建物でもありました。そんな美しい建物はもちろん、フランドルの絵画、色付けに使われる青色が特徴的なアラスの特産品でもある磁器、そして19世紀のバルビゾン派の重要人物でもあるカミーユ・コロ(Camille Corot)が交流したアラス派と呼ばれる画家たちの作品など美術館の常設展も見どころがたくさんあります。

カミーユ・コローの描いたフランス北部の街ドゥエの鐘楼を訪れて

フランス北部最大規模のクリスマスマーケット

アラスの冬の風物詩は何と言ってもマルシェ・ド・ノエル(marché de Noël)。マルシェ・ド・ノエルとはフランス語でクリスマスマーケットのことで、フランス各地で11月末からクリスマスにかけて開かれていますが、パリ以北ではアラスのクリスマスマーケットは最大規模を誇ります。2017年は11月24日から12月30日までの予定で開催され、140の露店がクリスマスツリーの周りに所狭しと軒を連ねます。

「クリスマスの街」と自ら名乗るアラスのマルシェ・ド・ノエルは街で一番大きい広場のグラン・プラス(Grand’Place)で開かれます。この広場は全ての建物がバロック・フランドル様式で建てられており、調和のとれた建築美はヨーロッパの他の街では見られないものなのです。まるでおとぎ話に出てくるような美しい建物に囲まれたグラン・プラスほどマルシェ・ド・ノエルにぴったりな場所はないでしょう。

今年の冬はぜひアラスへ!

ナポレオン展にマルシェ・ド・ノエル。これだけでも今年のクリスマスや年末年始にアラスへ行きたくなりますね。アラスはパリの北駅(Gare du Nord)から高速鉄道TGVでわずか1時間です。クリスマスや年末年始にフランス旅行を計画している方はぜひクリスマスの街アラスに足を運んでみてはいかがでしょうか?

ヨーロッパ唯一の美しさを誇る広場があるフランス北部の街アラス