フランスの印象派の画家は19世紀のフリーランスのノマドワーカー?

モネに代表される「印象派」の画家たちはなぜ働き方を変えたのか

20世紀末から急速に進んだIT革命によって、今ではネット環境さえ整っていればパソコンやスマートフォン一つで場所を選ばず仕事ができるようになりました。決まった職場を持たず遊牧民のようにカフェなどで働く「ノマド」という働き方が注目されて久しい気がします。
実は19世紀後半にも似たような現象がフランス絵画の世界にも起きていました。18世紀末のイギリスから広がっていった産業革命によって人々の生活は大きく変わりました。そんな社会に登場したのがクロード・モネを旗頭とする印象派(Impressionnisme)の画家達でした。実は彼らの働き方は今で言うフリーランスで働くノマドそのものだったのです。

そもそも「印象派」とは?

Claude_Monet,_Impression,_soleil_levant
クロード・モネ「印象、日の出」

19世紀後半のナポレオン3世帝政のフランスでは美術界の権威はもともと王立アカデミーとして設立された機関の流れを組む芸術アカデミーでした。このアカデミーは歴史や宗教的なテーマを用い、輪郭をしっかりと描いた写実的でリアルな絵を評価していました。それに対するモネ、ルノワール、シスレー、セザンヌなどが中心だったフランス絵画の印象派は風景や日常生活をテーマにして短いストロークを重ねることで光を捉えることに重きを置きました。

絵画の既存概念を打ち破った彼らは、後にクロード・モネ(Claude Monet)が1872年に描いた「印象、日の出(Impression, le soleil levant)」という作品にちなんで「印象派」と名付けられるようになったのです。