閉山された炭鉱の跡地に建てられたルーヴル・ランス美術館プロジェクト

日本の建築家ユニットSANAA

世界各国から120以上の建築家がルーヴル・ランスの建築のコンペに参加しました。その中を勝ち抜いたのが日本の建築ユニットのSANAAこと妹島和世(せじまかずよ)と西沢立衛(にしざわりゅうえ)です。日本国内では東京だと表参道のディオールのビルが有名ですが、同時期に建てられた金沢の21世紀美術館や直島のフェリーの待合室「海の駅なおしま」も彼らの作品です。

特に最後の2つの建物とルーヴル・ランスを比べてみると、自然光を生かした採光や現代的なデザインでなおかつ開放感のある建築という点で共通しています。また、美術館という「美術の権威」的な圧迫感がなく、彼らが日常の延長にある「公園のような建築」を目指しているからなのかもしれません。実際に、建物の周りや外でサンドイッチなどを持ち寄って食べられるピクニックスペースもあって、気軽に敷地に入っていけます。

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ルーヴル・ランス美術館の外観

かつてパリのエッフェル塔や東京の都庁ビルがそうだったように、この伝統的な美術館らしくない外観を持つルーヴル・ランスの出現は地元の人にとっては当初はUFOのような存在だったようです。まず地元に受け入れられることが重要だと考えたルーヴル・ランスは建築的なハード面のアプローチだけでなく、ソフト面でも新たな試みを行いました。ルーヴルの当初の理念に従って誰でも美術を楽しめるようにと常設展の「時のギャラリー(Gallerie du temps)」は無料となっています。

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時のギャラリー

この「時のギャラリー」はパリのルーヴル美術館の所蔵コレクションを時代列に展示したもの。ルーヴル・ランスは他の美術館と違い所蔵品がないため、このギャラリーは本館に眠る美術品の傑作の数々を楽しめる場所です。本館の2階のように自然光による採光で美術品は照らされている点では同じですが、時代や国ごとに壁で隔てられていないことが本館を含めた他の美術館との大きな違いです。

奥に向かってなだらかな傾斜を下っていくと周りの美術品の年代もそれに従って紀元前から現代へと進み、右に行くと東洋美術、左に行くと西洋美術といった具合に、直感的に時間軸と地理軸の上に今見ている作品を置くことができます。同じ時代に生み出されたヨーロッパと中東の作品を比べて鑑賞することも容易で、これは従来の美術館にはあまり見られない展示方法です。

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ルーヴル・ランスの倉庫スペース

もう一つのルーヴル・ランスならではの特徴は倉庫・修復スペースがガラス張りになっており、普段は見られない美術館の裏側を見られることです。ガイドツアーも行われており、美術を別の視点からよりよく知ることができるようになっています。これも開かれた美術館を印象付ける部分ですね。

2018年にはルーヴル・ランスの目の前にかつての炭鉱の町によく見られた建築様式の家並みの外観を残して改装したホテルのHôtel Louvre Lensが開業しました。この機会にぜひパリのルーヴル本館とは違う新たな切り口のルーヴルを体感してみてはいかがでしょうか?

ルーヴル・ランスへのアクセス

パリの北駅(Gare du Nord)からTGVで約1時間10分。ランス駅からは徒歩で20分、また無料のシャトルバスも出ています。ランスからはアラスリールなども電車ですぐなので合わせて観光することをオススメします。