世界中のシェフが愛するバターを生み出すボルディエのお膝元、サン・マロ
こんにちは。フランス政府公認ガイドの濵口謙司(@tourismjaponais)です。
レンヌ(Rennes)から電車で約50分のところにあるサン・マロ(Saint-Malo)は城壁に囲まれたブルターニュならではの石畳の街並みを楽しめる港街です。
上流にあるディナン(Dinan)から続くランス川(Rance)の河口にあるサン・マロには、ランス川の青い水とコート・デメロード(Côte d’Émeraude)と呼ばれる文字通りエメラルド色の海が溶け合う景色が広がっています。

美しい景色だけでなく食に関しても多くのレストランがあり、ガレットやクレープなどのブルターニュの名物を味わうことができます。そして、何と言ってもサン・マロはその高品質のバターで知られるジャン・イヴ・ボルディエさんがお店を構える街でもあります。
サン・マロで数百円で買えるバターが日本では2000円弱する場合もあるので、大量に買い込みたいという方もいらっしゃると思います。
日本にも進出した冷凍食品専門店のPicardなどで保冷剤を買って日本まで輸送するというのも一つの手ですが、やはり現地でも食べてみたいという方も多いと思います。そこで、サン・マロでボルディエのバターを満喫する方法をご紹介したいと思います。
小さなバターの博物館、ラ・メゾン・ドュ・ブール

今やサン・マロの名所の一つとなっているラ・メゾン・ドュ・ブール(La Maison du Beurre)はいつもバターやチーズを買い求める人の列が絶えません。
ここではボルディエのバターだけでなく、チーズやジャムなどの本店ならではの製品が買えます。また、ラ・ベル・イロワーズと同じくブルターニュ地方のキブロンに居を構える老舗の缶詰会社ラ・キブロネーズ(La quiberonnaise)と共同開発したボルディエのバターを使ったイワシの缶詰はおすすめです(なんと、ゆずバター味もあります!)。

店内では販売スペースとともにボルディエのバター独自のヘラを使って形を作って梱包する様子が実演されています。また、展示スペースにはバターを作る際に使われる道具とともにパネルでバターの歴史が英語とフランス語で紹介されています。まさに視覚や知識の面でもバターを満喫できるバターの博物館と行ったところですね。

ボルディエのバターを使ったレストラン
もちろん見るだけでなくせっかくのサン・マロでの滞在中にボルディエのバターを食べてみたいですね。
サン・マロのIntra-murosと呼ばれる城壁内の旧市街には多くのレストランがありますが、中にはクレープなどにボルディエのバターを使った料理がメニューにあるところも少なくありません。
市役所前に広がるシャトーブリアン広場(Place Chateaubriand)にあるLa Licorneや日本でも東京や京都などに店舗を展開するBreizh Caféのサン・マロ店などがその例で、焼きたてのクレープとボルディエのバターのハーモニーが楽しめます。
しかし、数あるサン・マロのレストランの中でも一番ボルディエの作り出す味の真髄を楽しめるのはビストロ・オトゥール・ドュ・ブール(Bistro Autour du Beurre)以外にはないでしょう。ミシュランのガイドにも掲載されているこのレストランはボルディエ直営のレストランで、前述のラ・メゾン・ドュ・ブールの隣にあります。

ボルディエのバターを贅沢に使った料理の数々は季節などにもよりますが、前菜は16〜23ユーロ、メインは24〜38ユーロ(2023年1月現在)。もちろんのこと、それに合わせて選ばれたワインやチーズなどを心ゆくまで楽しめます。
それだけなら他のレストランでも十分なのですが、このレストランが他と違うのはパンと一緒に下記の写真のように様々な種類のバターを追加料金なしで楽しめることです。
バニラやそばなどバターとは程遠いように思えて、実際に口にするとなるほどよくできているなあと感心してしまいます。
しかし油断は禁物です。「おいしい!」を連発しているうちにバターとパンだけでお腹が張ってしまうので、メイン料理やデザートをしっかり食べたい方は食べ過ぎないようにご注意を!
それでは、Bon appétit!

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上の動画は取材風景をまとめたもの。本書のために、ジャン・イヴ・ボルディエさんも特別にインタビューに応じてくれ、人気の海藻バターの誕生秘話を教えてくれました。