現在は裁判所として使われている歴史的建造物

こんにちは。フランス政府公認ガイドの濵口謙司(@tourismjaponais)です。
レンヌ(Rennes)にあるブルターニュ高等法院(le Parlement de Bretagne)はフランス革命以前のブルターニュの栄華を今に伝える建物です。
現在は、フランスで5番目の規模の控訴院(日本の高等裁判所に相当)として使われている建物です。それと同時に、観光案内所によるガイドツアーを行なっている歴史的建造物でもあります。つまり、観光と司法が共存するフランスでも例を見ない建物です。
古典様式の落ち着いた外観からは想像できない豪華な内装や17世紀のフランスを代表する絵画の数々は訪問者を今も魅了しています。

レンヌとブルターニュの歴史の証人
1618年から建物と内装にそれぞれ半世紀ずつかけて建てられたブルターニュ高等法院は、元々はアンリ2世(Henri II)の名のもとに設立された機関。現在の役割に通ずるフランス王の名の下に司法や刑法に基づく決定を担っていました。
また、高等法院は王令を登録する役割も担っていて、それがブルターニュの利害に反する場合は王に意見をする特権までも有していました。
建築当初は今でもレンヌで多く見られるような伝統的な木組みの家に囲まれていており、その中で出現した石でできた立派な外観の建物はブルターニュ高等法院のフランスにおける重要さを象徴するものだと言えるでしょう。

2度の大火を経て
約900の木組みの家を火の海に飲み込んだ1720年の大火によって、ブルターニュ高等法院の前の広場は石造りの建物で取り囲まれている現在の姿になりました。
その後、レンヌではこの広場を舞台にフランス革命が繰り広げられ、革命を契機にレンヌにある高等法院は政治的な役割を失います。しかし、その後すぐに現在のように司法の役割を取り戻し、控訴院として使われるようになりました。
1994年には再び火事に見舞われて建物の一部が被害に遭いますが、結果的に修復作業が文化財としての重要さを再認識するきっかけとなりました。
ブルターニュ高等法院の至宝
数ある美しい装飾が施された部屋の中でもとりわけLa Grand’Chambre(直訳すると大広間)がブルターニュ高等法院での一番の見所でしょう。
金色の格天井は17世紀のフランス風装飾の代表例であり、王立絵画アカデミーの創設者の一人で当時最も素晴らしい画家でもあったシャルル・エラール(Charles Errard)とその弟子によるものです。
忘れてはいけないのは、これらの豪華な装飾の部屋の数々は今も控訴院として使われていて、実際に裁判が行われていることです。17世紀のフランスを代表する建築と絵画を楽しみつつも、フランスの21世紀の司法の現場を垣間見ることができる歴史的建造物は他に類を見ないものと言えますね。

ブルターニュ高等法院の見学の仕方
ブルターニュ高等法院のガイドツアー(フランス語)のチケットはレンヌ観光案内所、またはホームページでの購入できます。プライベートの場合は日本語でのガイドツアーも可能。詳しくはレンヌ観光案内所までお問い合わせ下さい。