ポール・ボキューズ中央市場で感じるリヨンが美食の街と呼ばれる理由

リヨンだけでなくフランス中から集まる食材の殿堂

こんにちは。フランス政府公認ガイドの濵口謙司(@tourismjaponais)です。

パリ、マルセイユに次いでフランス第3の都市のリヨン(Lyon)は美食の街として世界中に知られています。

その名声は長い歴史に裏付けられたもので、実は中世にまで遡ります。地理的な恩恵によって交易の街として栄えたリヨンには、フランスだけでなくイタリアなどからも多くの商人たちが様々な食材を運んで来ていました。

19世紀に入ると鉄道が普及し、人々が旅行をし始めると、リヨンの食材の素晴らしさを謳ったガイドブックのおかげで美食の街としての名声はフランス中に広がっていきます。

1933年にはラ・メール・ブラジエ(La Mère Brazier)がミシュランガイドで三ツ星を獲得します。このレストランで女性として初めて栄冠に輝いたのがウジェニー・ブラジエで、彼女の元で修行したのが伝説の料理人ポール・ボキューズ(Paul Bocuse)*です。

彼は現代のフランス料理の原型とも言えるヌーベル・キュイジーヌの旗頭であり、1965年に獲得したリヨン近郊には彼のレストランはミシュランの3ツ星は2018年1月の逝去まで守られました(2020年に2ツ星になりました)。

そんな彼の名がつけられた市場がリヨン・パールデュー駅からほど近いポール・ボキューズ中央市場(les Halles de Lyon Paul Bocuse)です。

ポール・ボキューズ中央市場の特徴とは?

ポール・ボキューズ中央市場の正式なフランス語での名称はles Halles de Lyon Paul Bocuseと言います。

レ・アール(les Halles)というのは19世紀にフランスで建てられ始めた鋳鉄を使った屋根付きの市場のこと。フランス各地に建てられ、リヨンでは1859年に最初のものが建てられました。

それまで屋外で開かれていた市場が屋根の下で行われるようになり、商人のみならずお客さんも天候の心配をしなくてよくなったことによる恩恵は計り知れなかったことでしょう。

現在の市場は2004年にリヨン市が大規模な工事の後に完成させたもので、完成の2年後に地元が誇るフランス料理の権威の料理人の許可をもらい今の名前になりました。

建物の中には肉や野菜はもちろん、果物、チーズ、ワイン、パンなどありとあらゆる食材を扱う約50の店が軒を並べています。中には牡蠣の店もあり、その場でワインなどとともに味わうことが可能です。他の店でもその場で食べられるところが多く、ちょっと腹ごしらえをするのにも便利です。

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ロゼット・ド・リヨン

質の高いリヨンの名物を買えるのもポール・ボキューズ中央市場ならではです。リヨンには多くの名物がありますが、ここで特にオススメしたいのがロゼット・ド・リヨン(Rosette de Lyon)と呼ばれる大きなサラミソーセージです。フランスではソシソン(saucisson)と呼ばれるこのサラミソーセージは食前酒と一緒につまみとしても食べられます。

リヨンはソーセージで有名ですが、とりわけロゼット・ド・リヨンはぜひ味わってもらいたいものの一つです(ちなみに豚肉製品なので日本の税関では検疫の対象となるので日本国内への持ち込みはできないので注意してください)。

その他にも、美食の街リヨンならでは特産品はたくさんありますが、またの機会にご紹介したいと思います。お楽しみに!