パテといったらこれで決まり!ブルターニュ地方発のエナフのパテのこだわりとは?

フランスで最も食べられているエナフのパテ

こんにちは。フランス政府公認ガイドの濵口謙司(@tourismjaponais)です。

フランス料理で日常的に食べられるものの一つがパテ(Pâté)です。パテとは、フランス料理の一種で肉や魚を細く刻みペースト状にしたもの。パンなどに塗って食べられ、アペロ(食前酒)のお供として欠かせません。

このパテの製造業者の一つが、2017年に創業100周年を迎えたエナフ(Henaff)です。年間約3500万缶を出荷しており、名実共にフランスで最も愛されているパテと言えます。

ところで、エナフのパテの魅力とは何でしょうか?それは作られる場所と関係がありそうです。

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エナフのパテ

秘密はブルターニュにあり

エナフはブルターニュ地方の西部フィニステール(Finistère)に拠点を置く老舗の会社です。ブルターニュ地方は質の高い豚肉で知られており、エナフで作られるパテの原材料も100%ブルターニュ産です。

ブルターニュ地方の多くの会社が強いこだわりを見せるのは、ブルターニュ産であること。これには、ブルターニュの人は地元愛が強く、根底に地産地消の意識があるからです。実際に、消費者も地元への愛着から地元のものを買う傾向が見られます。

そういう理由で、ブルターニュ地方にあるスーパーに行くとProduit en Bretagne(ブルターニュ産)と書かれた灯台のイラスト入りのロゴがついた製品のコーナーをよく見かけます。このエナフのパテも例外ではありません。

エナフのパテには会社と提携しているブルターニュ地方の畜産業者の豚のみを使っています。会社の工場には屠殺場があり、毎晩200〜250頭の生きた豚が運ばれます。一晩中ストレスをかけないようにきめの細かいシャワーできれいに洗った後、翌朝のうちに食肉処理されます。

その後、豚肉はソーセージの詰め物のような形に処理されて空の缶に詰められます。そして、約120度の高温で1時間殺菌された後、貯蔵庫にて6週間熟成されます。この長い時間がパテの味や食感を生み出すのに必要なのです。

こうして製造の過程を見てみると、きめ細かい品質管理が人気の秘密と言えるのではないでしょうか。

ブルターニュから宇宙へ

エナフのパテは、フランスだけでなく今ではなんと宇宙でも食べられるようになりました。

宇宙食を監修するフランス国立宇宙研究センター(Centre national d’études spatiales)と3つの国のレストランでミシュランの3つ星を獲得した料理人のアラン・デュカス(Alain Ducasse)はエナフのパテを約15の宇宙食の一つに指定しました。

実際に、2016年11月からはエナフのパテは宇宙に旅立ち、国際宇宙センターにてフランス人宇宙飛行士のトマ・ペスケ(Thomas Pesquet)によって食されました。

いつか皆さんが宇宙旅行をした時に、スペースシャトルの機内食としてエナフのパテを食べる時代が来るかもしれませんね。