アルザスでシュバシコウを見ると幸せになれる?
アルザス地方のシンボルとも言える鳥シュバシコウ。シュバシコウとは和名で「赤いクチバシのコウノトリ」という意味で、赤いクチバシが特徴のコウノトリ目コウノトリ科の白い鳥です。
シュバシコウは実際に近くで見るとかなり大きな鳥で圧倒されます。身長は1〜1.15メートルで体重は3〜4キロ。翼を広げるとその幅は1.2〜1.6メートルに達します。渡り鳥で、アルザスにいるものの2割くらいは冬をアフリカなどで過ごし、春になると再びアルザスに飛来します。その大きな体躯のおかげで往復12000キロ近くの旅ができるというわけです。

アルザスでは幸せを運んでくると言われるシュバシコウは、現地のどこのおみやげ屋さんに行っても、この鳥をデザインしたたくさんのぬいぐるみやポストカードなどが売られています。とりわけ、アンシ(Hansi)または親しみを込めてアンシおじさん(Oncle Hansi)とも呼ばれるコルマール出身の絵本作家ジャン゠ジャック・ヴァルツ(Jean‐Jacques Waltz)のイラストは有名です。
シュバシコウとアルザスの知られざる関係
シュバシコウがアルザスにとって特別な鳥になったきっかけの一つは近年に鳥が絶滅の危機に直面したことです。1960年には148を数えたつがいのシュバシコウは1974年になるとその数は9に減少しました。理由としては、アフリカの干ばつとそれに伴って草原が無くなってしまったこと、アルザス地方にあった湿地を排水したこと、そして電線による感電死も挙げられました。
その事実に危機感を覚えたアルザスでは、シュバシコウを保護し、繁殖そして定住化させる取り組みが始まりました。例えば、ストラスブールのオランジュリー公園(Le parc de l’Orangerie)では飼育センターを設けるなど繁殖の取り組みが行われ、1971年以来800を超える雛が生まれました。現在でもこの公園に行くと間近でシュバシコウを見ることができます。

2012年の時点ではアルザスで600のつがいが確認されるまでになっています。地球温暖化の影響もあってか、近年では冬をスペインなどの近場で過ごす傾向が強まっているようで、中にはアルザスにとどまるものもいるようです。