EUの街ストラスブールで欧州議会を見学

アルザス地方のストラスブールはEUの重要機関がある理由とは?

ライン川を隔ててドイツと国境を接する街ストラスブール。この街にはヨーロッパ地区(Quartier européen)と呼ばれるところがあり、ドイツとフランスが共同出資する公共のテレビ局ARTEの本部やEUの機関である欧州人権裁判所(Cour européenne des droits de l’homme)や欧州議会(Parlement européen)などがあります。

実は、ストラスブールはブリュッセルやルクセンブルク、フランクフルトと並んでEUの中核を担う街。なぜストラスブールにEUの重要機関が置かれているのでしょうか?これは街の歩んだ歴史と無関係ではありません。ストラスブールは活版印刷を発明したグーテンベルクがかつて暮らした街であり、モーツァルトやゲーテなどが過ごしたところでもあります。つまり、文化的にヨーロッパの歴史と密接に関わってきました。

また、フランスとドイツの間で揺れ動いた街の歴史も見逃せません。普仏戦争後の1871年にドイツ帝国に譲渡後に開発された地区ノイシュタット(Neustadt)に残された建物の数々を見ると、ドイツ帝政下のストラスブールの様子を垣間見ることができます。第二次世界大戦後のヨーロッパの平和の実現において、両国の国境沿いにあるストラスブールの果たす役割はとても大きかったため、現在もEUの主要機関である欧州議会が置かれているのです。

欧州議会に刻まれた2人のフランス人女性の名

ストラスブール欧州議会のルイーズ・ヴェイス棟
ルイーズ・ヴェイス棟

ストラスブールの欧州議会の建物はルイーズ・ヴェイス棟(Bâtiment Louise-Weiss)と名付けられ、1999年の完成の式典には当時のフランス大統領ジャック・シラクと欧州議会議長が立ち会いました。ルイーズ・ヴェイスは1979年に欧州議会の議員が初めて直接選挙が行われた際*に最年長の86歳で議員に選出され、開会の際に演説を行なった女性です。彼女はジャーナリストであり、女性の選挙権拡大にも尽力しました。

ストラスブール欧州議会とシモン・ヴェイユ
パルルモンタリウム・シモン・ヴェイユ。写真の女性がシモン・ヴェイユ。

この建物の中にはもう一つの偉大なフランス人女性シモン・ヴェイユ(Simon Veil)の名前が刻まれています。シモン・ヴェイユは1979年から3年間に渡り女性で初めて欧州議会の議長を務めた女性であり、それまでは非合法とされていた人工中絶の合法化に取り込み、女性の解放に力を尽くしました。

彼女の名前がつけられたパルルモンタリウム・シモン・ヴェイユ(Parlementarium Simone Veil)というスペースではスクリーンやタッチパネルが設置されていて、映像とともに欧州議会について知ることができます。

*1979年以降は5年おきに直接選挙によって議員が選ばれている。

欧州議会のしくみ

ストラスブール欧州議会の会議場

ルイーズ・ヴェイス棟をエスカレーターで上っていくと、欧州議会の中枢であるエミシクル(Hémicycle)と呼ばれる半円形の議会場にたどり着きます。ここは欧州委員会(Commission européenne)によって提案された法案の採決が行われる場所です。

欧州議会議員は750人いて、議長と合わせると751人。議員の数は人口などによって国ごとに違い、一番多いのがドイツで96人、ついでフランスが74人、イギリスが73人と続きます(数字は2018年時点のもので、2019年にはイギリスがEUから離脱するため、内訳が変わるそうです)。

欧州議会はストラスブールの他にブリュッセルとルクセンブルクにも施設があります。事前の政党ごとの審議などはブリュッセルで行われます。その後、議員は月に1度、月曜から木曜の4日間ストラスブールの欧州議会の議会場に集まり、法案を採択します(追加の場合はブリュッセルで行われることもあります)。一方で、ルクセンブルクは翻訳などの事務作業が行われています(3つの欧州議会の施設の中では唯一見学不可)。

ストラスブールの欧州議会の内部

至る所にEUの公用語である24言語で表記されているストラスブールの欧州議会の館内ですが、実際の審議の際は英語やフランス語などだけではなく色々な言語が飛び交うため、議会場には専用の通訳のブースがあります。

館内を案内してくれたガイドさんによれば、例えば一人の議員がマルタ語で発言した場合、ほとんどの他の議員が分からないので、中継言語という形でイタリア語に通訳され、そこから英語やフランス語などに通訳されるそうです。これも公用語の多いEUの議会ならではのケースと言えます。

2018年7月には日本とEUの間で世界最大規模の経済連携協定が結ばれましたが、ストラスブールの欧州議会を訪れるとその舞台裏が少しのぞけたような気がします。ストラスブールにお越しの際はぜひヨーロッパ地区と欧州議会を訪れて、ヨーロッパの街ストラスブールの雰囲気を感じてみてはいかがでしょうか?

欧州議会のガイドツアーに参加するには?

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欧州議会を見学するには英語、フランス語、ドイツ語でのガイドツアーの参加が必須です。料金は無料で、個人の場合は予約の必要はありませんが、入場にはパスポートなどの身分証明書の提示が必要となります。日程等は下記のページでご覧下さい。

欧州議会のホームページ(フランス語、英語など)

開始時間の30分前くらいから入場を始め、空港の保安検査場のように荷物チェック等を行います。その後、全員が揃った時点でツアーが始まります。ツアー時間は約1時間で、映像を使った欧州議会の説明(英語、フランス語などEUの加盟国24言語に対応)などもあります。

 

 

 

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