ナポレオンの肖像画は理想化されている?

「おうちでフランス絵画」はじめます!

こんにちは。フランス政府公認ガイドの濵口謙司(@tourismjaponais)です。

コロナ禍で美術館になかなか訪れることができない日が続いています。そんな中、画面越しに美術を鑑賞する機会が増えてきました。そこで、「おうちでフランス絵画」と題して、フランスの数ある名画を紹介するシリーズを始めたいと思います。

普段より短めの記事ですが、読みながらスマホやパソコン越しに絵をどうぞ鑑賞してみてください。

ジャック=ルイ・ダヴィッド作「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト

今回はジャック=ルイ・ダヴィッド「サン・ベルナール峠を越えるボナパルト(1800年、マルメゾン城蔵)」をご紹介します。絵の大きさは縦260cm、横221cmの油彩画となっています。

フランス語のタイトルは「Bonaparte franchissant le Grand-Saint-Bernard」

ナポレオンというとこの馬に乗った躍動感ある肖像画を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?

この絵の中には馬に乗ってアルプスを越えているナポレオンが描かれています。

勝利に導く将軍の姿をしたナポレオンは端正な顔立ちで描かれ、マントをなびかせ、指で進むべき方向を示しています。

まさに、理想的な指揮官といった感じですが、実際に彼が乗っていたのはロバだったそうです。さらに言えばナポレオンはそんなに美男子ではなかったとも・・・。

真実はともかくとして、この絵の目的は史実を記すことではなく、プロパガンダにありました。

絵の左下にある石には、かつてハンニバルやカール大帝などの過去の偉大な指導者とともにボナパルトの名が刻まれています。

この絵を描いたのは新古典主義を代表する画家のジャック=ルイ・ダヴィッド。ナポレオンのお抱え画家であり、歴史画を得意とした彼は、ナポレオンを偉大なる皇帝の姿で描きました。

現在のようにテレビやラジオなどがなかった時代において、肖像画というのはイメージを作り出すとともに、政治的な主張をするための大事なメディアの一つだったと言えるのかもしれません。