フランスの自動車メーカーのプジョーの知られざる歴史
こんにちは。フランス政府公認ガイドの濵口謙司(@tourismjaponais)です。
プジョーといえばライオンのロゴで有名なフランスの自動車メーカーです。しかし、実はプジョーのブランドは車だけにとどまらず台所用品にも広がっています。例えば、プジョーの胡椒挽きはプロの料理人にも愛用されるほどの高品質を誇ります。
なぜプジョーが胡椒挽きを作っているのか?
そんな疑問を持たれた方も多いと思いますが、プジョーの創業からの歴史を振り返ると、むしろ必然だという事が分かります。なぜなら、元を辿れば、プジョーは創業時は金属を扱うメーカーだったからです。
プジョーの200年の歴史
ナポレオンがヨーロッパを席巻していた1810年。プジョー家の2人の兄弟が先祖から引き継いだ粉挽きに使っていた水車小屋を鋼の精錬工場に変えました。そこでは帯状の薄い鋼などが作られていました。
その8年後にはのこぎりの刃の特許を取得するなど、彼らは事業を徐々に拡大。そして、1840年には木材と金属板を使った最初のコーヒーミルを生み出しました。四角い木箱に豆を挽くために回す取っ手がついたもので、20世紀に電動化されるまで数多くの改良版が作られました。

19世紀の半ばにはその品質を象徴するライオンのロゴを製品につけるようになったプジョー。1870年代に入ると胡椒挽き、さらには1886年にはプジョーブランドの自転車、そして1889年には蒸気で動く三輪自動車を生み出します
しかし、この頃には創業者兄弟の間で自動車業界への参入への是非を巡って対立が生まれ、自動車部門は独立して別会社に。こうしてプジョーは現在のように2つの顔を持つようになったのです。
現在では、胡椒挽きなどを作る方はPSP Peugeot(PSPはPoivrières Salières Productionの略)、自動車メーカーの方はPeugeot S.A.と別会社となっています。
食卓にあるプジョー製品の数々

このように、今ではプジョーといえば自動車メーカーなのですが、実はコーヒーミルや胡椒挽きの方が歴史は長いのです。現在では他にも塩やスパイスなどの専用のミルや電動タイプのものまであります。
フランスでレストランに入ったら、テーブルにある胡椒挽きを見てみてください。もしかしたらプジョー製品かもしれません。
プジョーの胡椒挽きを使うというのは不思議な感じがしますが、その歴史は日本で言えば明治時代初期にまで遡るわけで、長い伝統を受け継いだ一品でもあるわけです。日常使いできるものなので、フランスのお土産にも良いですね。