サン・マロで一番古いカフェの名前は世界で一番長い?

サン・マロで必ず寄りたい独特な世界観を持つ創業1820年のカフェ

Le Café du coin d’en bas de la rue du bout de la ville d’en face du portの外観

城壁に囲まれたブルターニュ地方サン・マロの旧市街の一角に佇むカフェ「Le Café du coin d’en bas de la rue du bout de la ville d’en face du port」。サン・マロで1820年に創業され、街で一番古い歴史を持つカフェの現在の名前です。

日本語で直訳すると「港の正面にある街の端にある道の下にある界隈のカフェ」。もしかしたら世界一長い名前のカフェかもしれません。

Le Café du coin d'en bas de la rue du bout de la ville d'en face du portの入り口

その正式な名前の示すように、サン・マロ旧市街の端の方にあるカフェの建物は、一見すると石畳が続くサン・マロの旧市街のどこにでもありそうなものなのですが、中に入ると印象がガラリと変わり、その独特な世界観に圧倒されます。

店内を支配する人形と独特な世界観

一度店内に足を踏み入れて、とりわけ目を引くのはおびただしい数の人形でしょう。世界中から取り寄せられた様々な人形は2001年よりこの店を引き継いだオーナーによるもの。中には20世紀初頭のものもあります。彼によると人形の数は「昨日よりは多いけど、明日よりは少ない。」とのこと。ただ、この店の特徴は人形だけではありません。

席についてメニューを開くと、通貨がeurosではなくzorrosになっています。不覚にも「ここってユーロで支払いできるのだろうか?」と一瞬でも思ってしまった時点で、もはやこの店の独特な世界に足を踏み入れている証拠です。ここはひるまず普通のエスプレッソを注文。

La java caféの内装

人形や古いポスター、骨董品などで壁を見つけるのも難しいほど店内にはたくさんのものが飾られています。店内を隅々まで見渡していくうちに、「よくこんなに集めたなあ」という感嘆と、新しいものを見つけたいという好奇心が交互に呼び覚まされていきます。

しばらくすると、ブランコがぶら下がっているカウンター席の奥からウェイターさんが、トイレの前にあるレトロなエレベーターの箱(1932年製でパリで使われていたもの)の前を通ってエスプレッソを運んで来てくれました(ちなみにコーヒーは普通に美味しかったです)。

店内をさらに見渡すと、次々と飾られている人形と視線が合います。思わず目をそらしたくなるもの、きれいでずっと見ていたいもの・・・。オーナーによると、人形を見ると様々な感情を引き起こされるものだそう。3000近くあるとも言われる人形の数だけ、この店で過ごした時間がより印象深いものになる理由の一つかもしれません。

そんな風に自分の中で色々な感情が生まれていくのを感じながら、挙動不審者のようにキョロキョロと首を前後左右に回していると、気がつくとエスプレッソが冷めていました。

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そんなカフェ「Le Café du coin d’en bas de la rue du bout de la ville d’en face du port」ですが、ネットで検索するときは「La Java Café(ラ・ジャヴァ・カフェ)」と検索すると出て来ます。サン・マロで道に迷ったときはこちらの名前か、「長い名前のカフェはどこ?」と道で聞くとサン・マロの人なら教えてくれると思います。