モン・サン・ミッシェルの記憶が眠るノルマンディーの街アヴランシュを訪ねて

モン・サン・ミッシェルの歴史はアヴランシュとある司教の夢から始まった?

アヴランシュから見たモン・サン・ミッシェル
アヴランシュから見たモン・サン・ミッシェル

ノルマンディー地方のコタンタン半島の付け根に位置するアヴランシュ(Avranches)は小高い丘の上にあります。モン・サン・ミッシェル湾を一望できる丘は自然の要塞として理想的で、かつてケルト人や古代ローマ帝国などがここに街を築いたことは決して偶然ではないでしょう。

実際に、SNCFのアヴランシュ駅を降りると、すぐに旧市街へと伸びる険しい上り坂が待ち構えており、街の中を歩いていても上りと下りが多く、場所によってはかなりの高低差を感じることができます。この丘の上にかつてケルト人は木の柵や堀を巡らしオッピドゥム(oppidum)と呼ばれる城市を築いたと言われています。

その後、紀元前1世紀のガリア戦争により、政治家であり軍人のカエサル率いる共和制ローマの支配下に置かれることとなりました。こうしてアヴランシュはローマ帝国内でも重要な都市として発達していきました。

このように長い歴史を持つアヴランシュですが、8世紀の初めにさらにその歴史に欠かすことのできない1ページを加えることになります。実はモン・サン・ミッシェルの歴史はここアヴランシュで始まったのです。

司教オベールと大天使ミカエルの出会い

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大天使ミカエル像

モン・サン・ミッシェルについて書かれているどんな文献やガイドブックを見ても必ず書かれているのがその起源。モン・サン・ミッシェル修道院の歴史は708年にアヴランシュの司教オベール(Aubert)によって大天使ミカエル(ミカエルはヘブライ語で、フランス語ではサン・ミッシェル)を祀った礼拝堂を作ったことが始まります。

伝説によると、司教オベールの夢枕に大天使ミカエルが現れ、当時はトンブ島(Mont Tombe)と呼ばれていた現在のモン・サン・ミッシェルに礼拝堂を建てるように迫ります。このお告げを真に受けずにいると、再びミカエルは夢の中に現れオベールに催促をしました。それでも信じることができなかったオベールに業を煮やしたミカエルは、もう1度司教の夢の中に現れ、指でなんとオベールの頭に穴を空けました。

目覚めて夢で起きたことが本当であることを理解し、事の重大さを理解したオベールはすぐさまトンブ島に礼拝堂を建てました。これがモン・サン・ミッシェル修道院の歴史の始まりです。

さて、ここまではどんなガイドブックにも書かれているモン・サン・ミッシェルの歴史のさわりの部分でよく知られているのですが、このにわかには信じられない奇跡体験をした司教オベールの人生については多くの謎が残っています。