フランス国内外の現代アートファンが夏にナントを訪れる理由とは?

現代アートに彩られた全長12キロの旅路、ル・ヴワャージュ・ア・ナント

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Laurent Pernotの作品「La terre où les arbres rêvent」

大西洋にほど近いロワール川沿いにあるフランス北西部のナント(Nantes)は、2013年にヨーロッパの緑の首都(Capitale verte de l’Europe)に選ばれたことでも知られています。環境に取り組む街の姿勢を評価されたもので、路面電車などの公共交通機関の整備や合計417キロに渡るナントと近郊の自転車専用道、そして街中に100ある緑豊かな公園や庭園など、緑はまさにナントを象徴する色でもあります。

そして、緑はナントの夏を語る上で欠かせない色でもあります。夏にナントの中心街を歩くと、この街のシンボルカラーでもある緑色の線が街のあちこちに引かれています。実はこれは2012年より始まったナントの夏の恒例イベントとも言える「ル・ヴワャージュ・ア・ナント(Le Voyage à Nantes)」で重要な役割を担うものなのです。

緑色の線をたどってナントを旅する

ル・ヴワャージュ・ア・ナントの緑色の線
ナントの街中に引かれた緑色の線

「ル・ヴワャージュ・ア・ナント」はフランス語で「ナントでの旅行」。ナントの中心街に伸びるこの線をたどって行くと、行く先々に現代アートが姿を現します。種類も様々で、広場や通りなどの公共スペースに設置されたインスタレーションだけでなく、展示やパフォーマンスまで多岐にわたります。その長さは12キロメートルに広がっていて、6回目になる2017年は7月1日から8月27日まで休みなく開催されています。

Boris Chouvellonの「La Part Manquante」
Boris Chouvellonの「La Part Manquante」

作品の種類も様々で、見て楽しむことができるもの、メッセージ性の強いもの、そして私たちが体感できるものもあります。

上の写真ではアーティストがある想像上の未来の世界を表現しています。ブッフェ広場(Place du Bouffay)を覆うのは干上がった塩で水がなくなってしまったのか、あるいは著しい水位の上昇によって水に覆われてしまったナントを表すのか?広場の中心には一部が欠けた観覧車があり、ゴンドラがあるべきところにはヤシの木とシャベルカーの先端部分が交互に配置されています。前者が不死性や海に近いところにある木であるのに対して、後者は建築現場や考古学を象徴したものでもあります。

また、下の写真はブルターニュ大公城の堀に沿って備え付けられている作品「Paysage glissé(滑らされた景色)」です。この鋼の滑り台で、歴史ある城と城壁、そして堀を繋ぐ跳ね橋を違った角度で見ることを提案する作品でもあります。実際にこの滑り台は私たちが滑って体感することで作品が完成するのです。

TACT architectes et Tangui Robertの「Paysage glissé」
TACT architectes et Tangui Robertの「Paysage glissé」

この「ル・ヴワャージュ・ア・ナント」ではアーティスト、建築家、クリエイターが公共スペースを使って自らの創造力を発揮することによって、ナントの街並みに活気と新たな視点をもたらしています。緑色の線がまさにガイドの役割を果たしていて、現代アートを楽しみながらもナントの歴史ある名所や観光スポットを効率よく回ることができます。夏にナントを訪れる際はぜひこの緑の線をたどって、緑の街ナントを旅してみてはいかがでしょうか?

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