フランスでは1月のガレット・デ・ロワ、2月の初めはクレープ
こんにちは。フランス政府公認ガイドの濵口謙司(@tourismjaponais)です。
2月といえば日本では節分ですね。お正月が終わるとスーパーやコンビニで恵方巻きの宣伝が始まり、鬼のお面がついた豆が販売されるようになります。節分とは「季節を分ける」という意味であるように、毎年立春の前日にあたります。
一方で、フランスでは、1月6日のキリスト教の公現祭にガレット・デ・ロワ(Galette des Rois)を食べる習慣があります。
ガレット・デ・ロワとはパイ生地にアーモンドクリームが詰まったパイ菓子。クリスマスが終わると、1月いっぱいくらいはパン屋やスーパーなどの店頭に並びます。
そして、2月に入るとガレット・デ・ロワは店から消え、2月2日の「クレープの日」を迎えるというわけです。

キリスト教の祭典に由来する伝統
2月2日のこの「クレープの日」はフランス語でChandeleur(シャンドラーまたはシャンドルール)というキリスト教の祭典に由来し、日本語では「聖燭節」と訳されます。これは、キリストの生誕から40日後の2月2日にイエスを教会に紹介した日を祝うものです。
現在のようにクレープを食べるようになった習慣が始まったのは5世紀のこと。当時のローマ教皇のゲラシウス1世がろうそくを使っての行進を定着させ、その日はローマを訪れる巡礼者にクレープを配ったとか。
元々、@月のシャンドラーの日は日照時間が急に長くなる時でもありました。なので、かつては太陽が戻ってくることを祝って、たいまつを手に行進をしました。そして、家に帰り、ろうそくに灯りをつけた燭台を置き、その明かりでクレープを食べていたようです。
なぜクレープが食べられるのか?
ところで、どうしてシャンドラーの日にクレープが食べられるのでしょうか?
一つの理由としては、クレープの見た目にあります。クレープの形と色は太陽を連想させるものであり、暗くて寒い冬に太陽が戻ってくることを象徴しているからです。これはガレット・デ・ロワが丸い理由と同じです。
それに加えて、クレープはあまり材料を必要しない上に前年に挽いた粉を使ってもできるため、次の収穫の際の豊作を願ってクレープを作るからです。このクレープを食べる習慣はフランスやベルギー、そしてフランス語圏スイスだけのようです。
ちなみに、2月2日にクレープを食べるというシャンドラーの日を、日本でも少しずつ広めようとする動きがあるようです。
いつか、豆を巻いて恵方巻きを食べて、そしてクレープを食べる日が来るのでしょうか?何はともあれ、歴史を紐解いていくとまたクレープを食べる楽しみがまた一層増えますね。