草間彌生が手がけたフランドルの都リールの幻の華

リールの幻の華こと「シャングリラのチューリップ」とは?

ブリュッセル、ロンドン、パリからの電車が乗り入れるリール・ユーロップ(Lille Europe)駅を出るとリール(Lille)のビジネス街のユーラリール(Euralille)地区に出ます。パリのラ・デファンス(la Défence)とリヨンのラ・パール・デュー(La Part-Dieu)に次いで第3のビジネス街でもあり、同時に現代建築の宝庫でもあります。日本では東京の汐留にある電通ビルを手がけたジャン・ヌーヴェル(Jean Nouvelle)の設計したショッピングモールのユーラリールをはじめとして、斬新な建物が目を引きます。

その現代建築群に囲まれた駅前の広場に劣ることない存在感を見せているのが極彩色の巨大な花です。高さ7メートルのコンクリート製のこの花は、イギリスの作家ジェームズ・ヒルトンが1933年に出版した小説『失われた地平線』に登場する理想郷のにちなんで「シャングリラのチューリップ(les Tulipes de Shangri-la)」と名付けられました。

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シャングリラのチューリップ

草間彌生が手がけた幻の華

実はこの巨大チューリップは日本人芸術家の草間彌生の作品で、2004年にリールがヨーロッパ文化都市として多くの芸術作品が街中に展示された際にその一つとして生み出されました。現代アートに造詣が深い方でしたら、草間彌生といえばまずは瀬戸内海に浮かぶアートの島の直島にある巨大なカボチャを思い浮かべることでしょう。直島は現在フランス人にも非常に人気の観光地で、彼女の作品はフランスでもよく知られています。松本出身の彼女の作品は松本市美術館でも展示されており、とりわけ入口の前には「幻の華」と呼ばれるリールのチューリップを思い起こさせるような花の数々がそびえ立っています。

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松本市美術館の入り口前

シャングリラのチューリップは、ブリュッセルやロンドン、そしてパリの間に位置する国際都市としての多くの人の行き交うリールの躍動する姿を象徴しているようにも思われます。リールに降り立った時はそんなことを考えながら、この理想郷に咲く華を通して、少し日本に思いを馳せてみてください。

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