現代アート集団Cracking Artの挑戦
ル・マンの観光案内所の前を通ると目に飛び込んでくる巨大な黄色のカタツムリ。Cracking Artというイタリアのビエッラ(Biella)で1993年に産声をあげた現代アートの活動グループの作品で、昨今ますます危険にさらされている動物の命について特に若者に喚起を促すものです。
Crackingの由来
このcrackingという言葉は英語で「分別蒸留」という意味で、石油工場などで使われる手法で沸点の差を利用して物質を分離する過程を指します。原油からプラスチックや化学繊維などの原料となるナフサ(粗製ガソリン)を取り出す際にもこの方法が使われています。
Cracking Artによると、このcrackingというプロセスは自然を人工物に、有機的なものを合成物に変えてしまうもので、もし制御をしなければ、我々を新たな現実に直面させるものだと提唱しています。そういった理由でこの巨大なカタツムリも実は再生プラスチックでできています。
国際的な活動
彼らの活動はイタリアにとどまらず、外国にも広がっています。中国やオーストラリア、フランスでもパリ(Paris)やカレー(Calais)で展示がすでに行われています。ル・マンでも2015年にル・マン現代アート(Le Mans Arts contemporains)が主催して、無機質で不自然な色をした巨大なカタツムリやカエルが街のあちらこちらに出現しました。
ル・マン観光案内所にある黄色いカタツムリと旧市街の果樹園にある白いカタツムリは、ル・マン市の支援に感謝して主催者が2016年に寄贈したものなのです。
