アングル「レオナルド・ダ・ヴィンチの死」
こんにちは。フランス政府公認ガイドの濵口謙司(@tourismjaponais)です。
今回の「おうちでフランス絵画」でご紹介するのはアングルの「レオナルド・ダ・ヴィンチの死(1818年)」です。縦40cm、横50,5cmの油彩画でプティ・パレ美術館に所蔵されています。
ルネサンス期を代表する芸術家であり、発明家でもあるダ・ヴィンチは「モナ・リザ」や「最後の審判」を描いたことで知られています。母国のイタリアで人生の大部分を過ごした後、1516年にフランス王フランソワ1世に請われ、アルプスを越えてフランスで晩年を過ごすことになります。
イタリアのルネサンスに大きな憧憬の念を抱いていたフランス王は、その類まれなる才能を発揮させるために自由を与えるだけでなく、不自由がないように財政面での援助を惜しまなかったそうです。
住まいとして、フランソワ1世の居城のアンボワーズ城の近くにあるクロ・リュセ城をダ・ヴィンチに与えます。ここが天才画家の終の住処となります。フランスに渡った3年後に息を引き取りました。67歳でした。
この作品は、タイトルの通りダ・ヴィンチの臨終を描いたもの。白いひげをたくわえたダ・ヴィンチを抱きかかえているのはフランソワ1世。
実際に、フランソワ1世がダ・ヴィンチの死に際に立ち会ったという証拠はありません。しかしながら、フランス王はダ・ヴィンチを傑出した芸術家としてだけでなく、父のように敬愛していたそうです。
この絵は19世紀を代表する画家の一人アングルによるもの。当時イタリアにいた彼は、個人の顧客からの注文を受けて絵を描くことで生活をしていました。人並外れた記憶力を持っていた彼は、ルーヴルで見た絵の数々を再構築して、ダ・ヴィンチの死という歴史的なテーマを再現しています。