フランス北部ベテューヌのグラン・プラスに見とれる

再建され生まれ変わったグラン・プラス

破壊された街をどのように再建するのか?これは大戦によって大きな被害を受けた多くの都市に課せられた難題でした。元どおりに戻すのか、あるいは全く別の建物で新しい街並みを作るのか、べテューヌもその選択を迫られました。

1918年7月に撮影された写真。爆撃されたグラン・プラスは廃墟に。

大戦後のフランスではアール・デコと呼ばれる芸術運動が広がりを見せていました。アール・デコは建築だけにとどまらず、美術、家具、工芸などあらゆる分野で世界中に見られたもの。幾何学的なモチーフを用いるという点では、20世紀初頭に流行した植物や動物などをあしらった有機的で、自由な曲線を使ったアール・ヌーヴォーと対照的なものでした。

時を同じくして、地方に根ざした建築様式を再評価する動きが出ていたのもこの頃でした。コンクリートなど20世紀の建築技術を用いながらも、それぞれの地方ならではの昔の建築をリバイバルした建物がフランス各地で建てられるようになりました。

べテューヌはこのアール・デコと地方主義という2つの建築様式をミックスする形で新しく生まれ変わりました。グラン・プラスやその周辺部を歩くと、中世から続く古い街並みのようでもあり、どこか新しさが感じられます。

フランドル建築の特徴的な建物が並ぶグラン・プラス

ベルギーやフランス北部に広がっていたフランドル地方の建築の流れを汲んでいるのがグラン・プラスにある建物の特徴の一つ。グラン・プラスに面する建物をよく見ると、切妻(傾斜した2つの屋根の部分で作られる山の形をした部分)が広場の方を向いているのが分かります。

グラン・プラスにあるベテューヌの鐘楼

そして、装飾面でも、屋根の三角形の部分が階段の形になっていたり、屋根を作る2つの斜面の下端にぐるっと円を描くように波の形があるのはフランドル建築の特徴的なもの。ブリュッセルやアラスなどのグラン・プラスにある建物によく見られます。そういった伝統的で地方色豊かな建物の中に、アール・デコのような20世紀の趣向が織り交ぜられているのがべテューヌのグラン・プラスの特色と言えます。

一方で、グラン・プラスの中央にある鐘楼はかつてのように再建されました。中世より街のシンボルである鐘楼は、姿を変えず今も広場の中央に立ち続けています。戦火を乗り越え、中世から街を見守り続けている鐘楼と、再建された広場に面する建物。建築年代が何百年も違うこれらの建物ですが、今では違和感なく調和しています。

べテューヌのグラン・プラスを歩くと、建物に刻まれた街の歴史と同時に、姿を変えつつも時代を超えて受け継がれる普遍的なものが感じられる気がします。皆さんも建物の一つ一つに目を凝らしながら、ぜひこの街ならではのグラン・プラスの美しさを感じてみてください。

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