ボルドー生まれのスイーツ、カヌレに隠された街の歴史

アメリカ大陸からもたらされたラムとバニラ

17世紀に入り、オランダ人がボルドーのワインを多く買うようになり、ボルドーのワインの名声はさらなる高まりを見せます。また、当時、ヨーロッパの列強諸国の視線は海外に向けられていました。「新大陸」と呼ばれたアメリカ大陸、西アフリカ、そしてヨーロッパ。イギリスとともに、この三つの大陸をつなぐ貿易、つまり三角貿易で大きな富を得たのがフランスで、ナントに次いでその恩恵を受けた都市がボルドーでした。

ワインなどを積み込み「月の港」を出航した船は、まずは西アフリカへ。そこで、積荷と引き換えに奴隷を積み、中央アメリカのアンティル諸島へと舵を取りました。そこでは、奴隷たちは現地のプランテーションの労働力として売られ、当時のヨーロッパにおいて貴重品だった品物(砂糖や砂糖からできるラム酒、バニラ、コーヒー、ココアなど)と引き換えられました。

三角貿易は航路が長くなりリスクが高いことから、ボルドーから出た船は次第にアフリカを経由せず、アンティル諸島に直接向かうようになっていきました。こうして、ボルドーの港から積み出された小麦とワインは、ラム酒やバニラに変わり戻ってきたというわけです。

アヌンシアード修道院の修道女たちは、卵の黄身に加えて、港に停泊する船の舟倉や、穴があいた袋などから抜け落ちた小麦を使ってカヌレを作っていたと考えられています。また、現在のカヌレには「新大陸」からもたらされたラム酒やバニラも使われています。こうして見ると、カヌレにはボルドーの歴史がたくさん詰まっているようです。

調和のとれた建築が美しいブルス広場。向かいに広がる水の鏡はその建築美を際立たせる。

ちなみに、この「新大陸」からもたらされた貴重品は、ボルドーからさらにヨーロッパ中にもたらされました。こうして街が得た富は、ボルドーの街並みを大きく変えました。新たな都市計画に基づいて18世紀に作られた旧市街は、2007年にユネスコ世界遺産に指定されています。

ボルドーに行ったら、旧市街の整然とした建物を眺めながらぜひカヌレを食べてみてください。街の歴史を凝縮した甘い香りが口の中いっぱいに広がっていくのが感じられるはずです。

オススメのカヌレの専門店

カヌレの専門店はボルドーの駅や空港はもちろん、街中にも至る所にあります。いくつか有名な店がありますが、中でも評判のいい店を2つ紹介します。両方ともチェーン店でボルドーだけでもかなりの店舗の数があるので、ホームページの上部にあるNos points de venteあるいはBoutiquesのタブをクリックして、観光プランに合わせて近くの店を探してみて下さい。

観光案内所近くのCanelés BaillardranのQuinconces店にはイートインスペースも。
広告