ノルマンディーの港町オンフルールのサント・カトリーヌ教会の秘密にせまる

サント・カトリーヌ教会のかつての姿

今のサント・カトリーヌ教会の姿は19世紀後半に行われた修復工事を経たものですが、実は、19世紀には西側の入り口に新古典主義の石造りのポーチ(玄関口)がありました。新古典主義様式とは、古代のローマやギリシャの美術や建築を模範にした西洋芸術の流れです。上記の昔のポストカードの写真で教会の建物の右側を見ると、ギリシャ神殿を思わせるような三角形の形をした屋根と立派な柱が、不自然に木造の教会に取り付けられているのが分かります。

オンフルールのサント・カトリーヌ教会の19世紀の姿。

20世紀になると、19世紀のポーチの代わりに、建物により調和したノルマンディーの田舎の教会のものをモデルにした下の写真のような新たなポーチを作りました。ギリシャやローマの古典様式に回帰した19世紀から、地方ならではの建築に関心を持ち、それを模倣していった20世紀初頭へ。こうした建物の姿の変遷からフランスの建築の流れを垣間見ることができるのは興味深いところです。

オンフルールのサント・カトリーヌ教会の外観

ちなみに、教会の外に出ると、正面に時計塔のような建物があります。これは、教会の鐘楼で、鐘楼が別の建物になっているのもサント・カトリーヌ教会の特徴です。この建物は現在はウジェーヌ・ブーダン美術館の別館として使われています。

オンフルール生まれの画家ウジェーヌ・ブーダンは少年時代のモネと一緒に野外で絵を描き、後に印象派を代表する画家になるモネに大きな影響を与えました。ブーダンが描いたサント・カトリーヌ教会の鐘楼の絵が長い間モネが描いたものとされていたことからもお互いのスタイルが似ていたことが分かります。

きっと、彼らは多くの時間をこの教会の前で絵を描いて過ごしたことでしょう。他にはない木造ならではの教会の建築美が多くの人を魅了するのは、きっとモネの時代も同じだったんじゃないかとこの教会を訪れると思わずにはいられません。

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