ナントのレストラン「ラ・シガル」で美しいアール・ヌーヴォー建築に見とれる

アール・ヌーヴォー建築の傑作

ナントのラ・シガルの内装

1914年に第一次世界大戦が勃発するまでの19世紀末から20世紀初頭にかけての時期は、パリの万博に象徴されるように、フランスでは産業や経済の発展などに伴う華やかな文化を誇った時代でもありました。ベル・エポック(Belle Époque)と呼ばれるこの時期の精神は芸術や建築にも宿されます。その一つがアール・ヌーヴォー(Art nouveau)と言われるヨーロッパや北米など全世界的な芸術運動で、ナントではこのラ・シガルの建物がその好例の一つと言えるのです。ちなみに、ビスケットメーカーLUのかつての工場(詳しくは下記の記事をどうぞ)もラ・シガルと同時期にナントに建てられたもので、同様に当時の街の活気が感じられます。

ラ・シガルの店内を見渡すと、アール・ヌーヴォーの代名詞の一つでもある植物のモチーフをあしらった色とりどりのタイルが至る所に見られます。その中に混じって、下の写真のテーブルに見られるような白い服を纏ったセミのデザインがあちこちに顔を出しています。実は「ラ・シガル」はフランス語で「セミ」という意味なのです。まさに、店の看板娘といったところでしょうか。

ナントのラ・シガルのテーブル

これらのタイルを取り囲むように、繊細な木の細工や枠組みが店内の雰囲気に落ち着きを与えています。ガラス、木、タイル、モザイクなど異なる素材を使っているので、色だけでなく質感に幅を生み出しています。こうした様々な要素はまさにベル・エポック時代の建築の特徴とも言えます。

装飾のない部分を探すのが逆に難しい内装とは打って変わって、外装(本記事1枚目の写真)はギリシャやローマの古典的な建築を想起させるシンプルな作りとなっています。全体的には白とベージュグレーを基調としていますが、装飾に使われているターコイズ色とその補色関係にある黄色系統でアクセントがつけられています。このように、グラスラン劇場をはじめとした重厚な作りの建物の中に調和しつつも、ラ・シガルは個性を発揮することを忘れていません。

ナントのラ・シガル

街で人気のレストラン「ラ・シガル」

ラ・シガルにはその素晴らしい建築見たさに訪れる観光客が後を絶ちません。そして、忘れてはならないのはレストランとしてもとても評判の高いのです。朝7時半から夜0時まで、自家製の焼きたてのパン、新鮮な魚介類、質の高い肉などを使った料理で多くの人の舌を魅了しています。美しい建築とベル・エポック時代のナントを感じながら、美味しい料理とともに特別な時間を過ごしたい方はぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか?