2つの顔を持つブルターニュの街サン・ブリユー旧市街

ブルターニュ地方の北部にあるコート・ダルモール(Côte-d’Armor)県の県庁所在地がサン・ブリユー(Saint-Brieuc)です。街の名前は現在のウェールズから5世紀末にやってきて修道院を創設したサン・ブリユーにちなんで名付けられました。彼はサン・マロなどと並んでブルターニュを作った7人の聖人の1人でもあります。
フランスでも有数のムール貝やホタテ貝の生産地としても知られています。サン・ブリユー湾に面したこの街は、街の海の玄関口でもある湾深くに入り組んだル・レゲ港(Port du Legué)と共に小高い丘の上にある旧市街も魅力の一つです。今も中世から現在に至るまでの街の歴史を語る歴史的建造物が多く残っています。

花崗岩と木が語るサン・ブリユーの歴史
SNCFサン・ブリユー駅から海に向かって続く坂を下って行くと、すぐさま花崗岩でできた重厚な建物に多く出会います。石の重みは街が刻んできた歴史の重みでもあります。
数ある建物の中でもひときわ際だつ存在感を放つのがサン=テティエンヌ大聖堂(Cathédrale Saint-Étienne)です。ゴシック様式の12世紀から14世紀にかけて建てられたこの建物は教会というよりは要塞のような風貌をしています。それもそのはずで、中世の間はサン・ブリユーの街は城壁がなく、この大聖堂が街を攻撃をされた際の最後の砦だったからなのです。建物の外側にはそれを裏付けるようにあちらこちらに矢狭間を見つけることができます。

小さな入り組んだ道の数々と丘の上にある街ならでは坂の多さがサン・ブリユー旧市街の特徴でもあります。サン=テティエンヌ大聖堂のある広場の脇にある小道を入って行くと、石の重厚感とはまた違う趣を持つ木骨造りの建物の並ぶ旧市街に入っていきます。
下の写真のメゾン・ル・リボー(Maison le Ribeault)は15世紀末に建てられた街で一番古い木骨造の建物です。歴史的建造物にも指定されているこの建物は、赤と白のコントラストが目を引きますが、所々に建てられた当時の中世のモチーフが見られます。例えば、3階部分の窓の部分には巡礼者を型どった彫刻が見られます。

このメゾン・ル・リボーのあるオー・ラン広場(Place au Lin)やすぐそばにある地元出身の作家の名を冠したルイ・ギユー広場(Place Louis Guilloux)には、石でできた家並みとは違うサン=ブリユーのもう一つの魅力が詰まっています。
このようにサン・ブリユーの旧市街を散策する際にはぜひ石と木という2つの建築資材に注目して歩いてみてください。そして、美味しいムール貝やホタテ貝などのサン・ブリユー湾で取れた美味しい海産物を食べるのを忘れずに!